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機材の進歩が、科学写真を更に興味深くさせています。我々の意識を超えた宇宙空間の世界----ミクロでは分子から原子の世界へと、果てしなく広がっています。
また、コンピューターの普及と高性能化は、多様な技法を花開かせています。
今回、ユニークな写真技法で注目を浴びているSSP会員の小檜山賢二氏の「デジタルコラージュ技法」----(SSP会報33号に発表)----と、それを顕微鏡写真に応用展開し、更に多様な実験的技法に挑戦されているSSP会員の伊知地国夫氏の撮影技法を紹介します。
(SSP会報33号、小檜山氏のホームページ、伊知地氏よりの提供試料などから引用しました)


パンフォーカスのマクロ撮影技術(小桧山賢二 氏)
「ライトスキャニング法」
被写界深度が極端に浅くなる立体物マクロ撮影で、全面にピントを合わせる方法に、「ライトスキャニング法」がある。
これは、撮影レンズの被写界深度の幅よりも狭いスリットから平面光をサンプルにあて、サンプルステージを下から上へ移動させて、バルブ状態のカメラで撮影する。(右図参照)
1964年に Mclachlan Dan Jr.によって発表された方法といわれ、最近の医学写真学会の写真展などに出展されたりする。


「デジタルコラージュ法」

他方、1昨年、SSP会員の小檜山賢二氏が発表された「デジタルコラージュ法」は、焦点の合う場所を変えながら複数(36枚程度)の写真を撮影し、コンピューターに取り込んで合成する方法である。(左写真、20枚合成)
撮影では、固定焦点でカメラと被写体の距離を変える方法と、レンズのピンと合わせで焦点の合う箇所を変える方法がある。


前者は、画面の像の大きさが一定してるので合成も楽であるが、その像は遠近感のない特殊な効果が現れる。
後者は、像の大きさが一枚ごとに微妙に変わっていくため合成は大変であるが、遠近感のある作品になる。

この技法は、写真で馴染みのライテング効果も取入れ易く、また、ハードウエアの進歩に沿って、リアリティに富んだより高精細のマクロ撮影技法として発展するとものと思われる。


「顕微鏡撮影によるデジタルコラージュ」
小檜山氏の手法の応用展開として、伊知地国夫氏が試みたのが、ユリの花粉の顕微鏡撮影である。(右写真 撮影倍率200,撮影フィルム5枚合成)
顕微鏡は高倍率になるほど被写界深度が極端に浅くなり、試料は当然切片や押しつぶした状態となる。花粉のような立体物をカバーグラスをかけずにそのまま観察できるのは、対物レンズ5-10倍、接眼10倍の総合倍率50-100倍程度で、それ以上の高倍率で全体にピンとを会わせることは、不可能である。
もっとも、走査型電子顕微鏡ではそれは可能であるが、原理的に、自然の色彩を得ることが出来ない。
デジタルコラージュ法は、光学顕微鏡の分解能という限界はあるにせよ、あるがままの色彩を取り込むことが出来るなど、メリットは大きい。


(掲載写真等の著作権は、各作者に所属します)

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